摩訶不思議な仕訳

今日、ぶちょー様からこんな指示を仰せつかった。
"ちょっとこの仕訳入れておいてくれ"
紙に書かれた仕訳はこうだ

役員退職給与 / 役員退職給与

？？？
なにこれ、何でわざわざ同額同勘定の仕訳を入れるんだ？
さぁ、あなたはこの仕訳の意味が理解できるだろうか。

ヒントは、同じ経理部のおねーさまが起票したこの仕訳

役員退職給与引当金 / 預り金

この仕訳自体の意味は、役員が退任するに当たり
役員退職給与を支払う為、今まで引当ててきた役員退職給与引当金を取崩し
預り金勘定にて税金分と支払い分に分けた後支払うという、支払い以前の仕訳。
ここまで書けば、分かる人はピンと来るだろう。

そう、この仕訳だけでは、税務上損金として認められないのだ。
そこで冒頭の仕訳が登場するのだ。

そもそも、おねーさまが入れた仕訳は簡略化したものであり、本来は

役員退職給与引当金(負債勘定) / 役員退職給与(費用勘定)

まず、今まで引当ててきた引当金の取崩しを行う

役員退職給与(費用勘定) / 預り金(負債勘定)

その後に、支払いによる費用発生仕訳を起票する。
この二つの仕訳において、貸借に退職給与勘定が出てくるため、おねーさまはそれを省略したんだ。
だけど、この費用勘定を立てるということが、今回の最大のキーポイント。
なぜなら、役員退職給与が損金として税務上認められるには
損金経理を要するという条件があるんだ。

損金経理とは簡単に言えば、費用として計上を行うこと。
今回の場合は、役員退職給与という費用勘定を立てていなければ、
たとえ仕訳後の残高が同じであろうと損金として認めてくれないのだ。紛らわしー。
なので、ぶちょー様の指示した仕訳は決して意味のないものではないのだ。
あるよね、型に入れて焼いた後型を壊して中身出すって感じの焼き物。
結果だけ見りゃ粘土を焼いて形にしただけに見えるけど、中身を見ると型があっての形であると。
ちょっと違った？まぁ気にしない。

あ、損金は少し難しいのでまた今度。
簡単に言えばそうだな、損金に認められる＝税金が安く済む　ってこと。
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